原因と症状
水イボは、正式には「伝染性軟属腫」と言い、ポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウイルスが皮膚に感染することで発症します。感染して発症するまで2〜6 週間程度かかり、夏場に発症することが多い小児の代表的な皮膚トラブルです。
皮膚に真珠のようなつやのあるイボができることから、水イボと呼ばれます。大きさは2〜5mmくらいで、表面は硬くてツヤツヤしており、中心部に少し凹みがあるのが特徴です。
手足、腋、胴体、股など皮膚が薄くこすれやすい部分にできやすいですが、手のひらや足の裏を除く体全身にできる可能性があります。水イボ自体に痛みはありません。水イボは、お子様の中でも、特に抵抗力が弱い幼児や、アトピー性皮膚炎の様な皮膚のバリア機能が弱いお子様がかかりやすい皮膚疾患の一つです。
水イボの治療
<治療①>自然治癒
基本的には、体にウイルスへの抗体ができて自然に治るのを待ちます。
早くて6か月、2−3年くらいで自然消失することがほとんどです。
<治療②>スキンケア
乾燥肌やアトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下していますので、水イボのウイルスが感染しやすくなっています。スキンケアを疎かにすると水イボが増えますので、保湿剤などのスキンケアが大切です。
<治療③>銀イオンクリーム
最近の新しい治療方法では、保険適応外ですが、抗菌作用のある銀イオンを配合した水イボ治療専用のクリームが使用可能となりました。2か月ほど治療を継続していただくことで、80%の方が治療したという報告もあります。
<治療④>ピンセットで除去/液体窒素で冷却
ピンセットでつまみ取る方法や、液体窒素で焼く方法もありますが、これらは痛みを伴うため、お子様に負担がかかります。
また、水イボには潜伏期があり、1度取っても、また出てくることもあり、繰り返し治療する必要も出てきます。
<治療⑤>漢方薬
以前から漢方薬を内服することもありましたが、効果には個人差があります。副作用はほとんどなく、効果は1/3程度で、2〜3か月間内服して効果判定するのが一つの目安です。
ご家庭で気を付けること
保育園や幼稚園、学校を休む必要はありません。他の人と接触する可能性が高いところの病変は、衣服または包帯で覆われていれば、体が接触するようなスポーツも可能です。お風呂や温泉などでヒトに感染する可能性は低く、プールや水遊びを禁止したり、学校や園への出席を停止したりする必要はありません、と学会も声明を出しています。ただ、タオルや水着、ビート板や浮き輪の共用は控えるようにしましょう。このように学会ではプールや水遊びは禁止していませんが、幼稚園や保育園によっては、プールを禁止しているところもありますので、水イボができていることを事前に園の先生に伝えておきましょう。患部を絆創膏などで覆ったり、ラッシュガードなどを着ていればOKという場合もあります。事前にしっかり確認しておくとよいでしょう。
水イボと似ている皮膚疾患
水イボは、水ぼうそう、あせも、虫刺され、とびひ、毛包炎などの皮膚疾患と区別がつきにくいと思われる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、治療は大きく異なります。皮膚に気になる症状があらわれた場合は、自己判断せずに小児科を受診しましょう。