祇園ふたばこどもクリニック
広島市安佐南区の小児科
祇園ふたばこどもクリニック
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小児科、循環器小児科
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  • 2025.12.07
    親御さんが予防接種を受けないと選択した理由とは? もしワクチンを接種しなかったら・・・?

    親御さんが予防接種を

    受けないと選択した理由とは?


    もしワクチンを

    接種しなかったら・・・?

     

    稀ですが、予防接種を受けてないお子さんがいらっしゃいます。

    広島市では、3,4か月健診や3才健診は集団検診で行われます。私も健診の診察医として健診に参加するのですが、健診の時に母子手帳をみると、予防接種を受けていないお子さんが、少ないですがいらっしゃいます。

    当院の患者さんでも予防接種を受けない方が非常に稀にいらっしゃいます。

    定期接種にしても任意接種にしてもワクチンを接種しなくても良い医学的理由はないのですが、それぞれの親御さんのお考えがあって接種されてないようです。

    ネット上にも「副反応が心配」「本当に必要なの?」という声があります。

     

     

    当院は予防接種を「強制」することはありません。

    ただし、予防接種を受けることで得られるメリット、予防接種を受けないことで起こりうるデメリットも知った上で、納得のいく選択をしてほしいと思います。

     

     

     

    親御さんが予防接種を受けない

    と選択した理由

     

    【理由①】

    インターネットにワクチンは

    危険とあったから。

    インターネットは、関心のあることを調べるにはとても便利です。SNSで保護者の方同士で悩みの解消や困りごとの解決策に利用している人も多いですね。

    同様に予防接種に関しても、ほかの人の考えを知るには役に立つと考えてしまいがちですが、インターネット上の意見には、根拠がないうわさや、意図をもってワクチンを否定するフェイク情報もあります。顔の見えない人たちの無責任な書き込みに、大切なあなたのお子さんの健康を託してもよいのでしょうか。

    予防接種や子どもの病気について疑問に思ったら、小児科に相談することをおすすめします。小児科では、専門的な知識と経験に基づいて、予防接種の受け方のアドバイスや相談にのってくれます。責任をもって地域の子どもたちの健康を守ることが、小児科医の仕事であり、使命だからです。

     

     

     

     

     

    【理由②】

    自然育児をしているので、

    ワクチンの様な人工的な

    行為は避けたい。

    自然育児では、自然な免疫獲得が推奨され、予防接種による免疫獲得は否定されるようです。考えてみれば、予防接種が開発される前は自然育児そのものでした。小さな赤ちゃんは様々な感染症に自然感染し、免疫を獲得してきました。同時に、重症で生死をさまよい、運悪く命を落とすことも少なくありませんでした。

    ワクチンは、このような過去の大きな犠牲を繰り返さないために、科学の進歩によって開発されました。「人工的」とみなされているワクチンですが、ワクチン接種による抗体は、実は、本来人間が持っている「自然の力(免疫力)」がつくりだしたものです。ウクチンで人工の抗体を体の中に注入しているわけではありません。ですので、ワクチン接種をしても自然育児を否定することにはなりません。ワクチン接種は多くの子どもたちの命を守ってきた実績があり、ワクチンを受けないことはお子さんの健康と将来を危険にさらすことになります。

     

     

     

     

     

    【理由③】

    自然感染の方が十分な

    免疫が獲得できるから。

    予防接種では免疫獲得が不十分

    だと考えているから。

    自然感染で獲得できる免疫は、予防接種による免疫よりも強いといえます。それならば強い免疫を得るために自然感染の方が良いかというと、答えはノーです。自然感染は、得られる免疫が強い反面、後遺症や死亡のリスクを伴うとても危険な方法です。

    ワクチンがない江戸時代には、麻しんは「命定め」の病気と言われるほど、多くの子どもたちが麻しんで命を落としてきました。現代の子どもたちはワクチン接種で麻しんを防ぐことができます。苦しい思いをすることも、重い合併症や死亡の危険にさらされることもなく、ワクチンで安全に免疫をつけることができます。たとえ1回で得られる免疫が弱いとしても、定められた回数を接種すれば、安全に赤ちゃんを守ることができるのです。

     

     

     

     

    【理由④】

    親族に予防接種で重篤な

    副反応が出た人がいるから。

    予防接種には副反応があります。よくある副反応では、発熱や接種部位の発赤・腫脹がみられ、まれな副反応ではアナフィラキシーであったり、脳炎・脳症、けいれん、急性散在性脳脊髄炎、ギランバレー症候群などの報告があります。頻度はかなり低く0.01~0,001%以下と言われています

    ですので、予防接種で重篤な副反応が全くでないわけではありません。重篤な副反応が出た方も少ないですがいらっしゃいます。そのような方が身近にいらっしゃる場合は、お子さんの予防接種を迷われることも当然あると思います。お気持ちはわかります。

    ただ、ここで医学的・科学的に確実に言えることは、

    『予防接種をして重篤な副反応が出るよりも、予防接種をしないでその予防接種で防げる病気にかかって重篤になったり、後遺症が残ったり、命に関わる状態になったりする方が、圧倒的に多い。』

    ということです。

    私の勤務医時代の経験でもそうですし、全国的な報告でもそうですが、たとえば、インフルエンザワクチンの副反応で脳炎・脳症になって入院治療される方がいらっしゃいますがとても稀です。それ以上に、インフルエンザワクチンを接種しないで、脳炎・脳症になって入院治療される方の方が何倍も多いのです。

    ですので、私だけでなく多くの医療従事者は、インフルエンザの副反応で脳炎・脳症など重篤な副反応のリスクがあることを知っていますが、ワクチンを接種しないで重篤になるリスクの方が圧倒的に高いことを医学的・科学的に知っていますので、自分自身にもワクチンを接種しています。

    お子さんの予防接種も同様です。お子さんに予防接種を受けさせないで、お子さんがその病気にかかって重篤になったり、後遺症が残ったり、命に関わる状態になった場合、親御さんはそのお子さんに責任が取れるのでしょうか。例えば、お子さんに風疹ワクチンを受けさせないで、その子が成人して妊娠中に風疹にかかったら、そのお腹の子(孫)が先天性風疹症候群にかかるリスクがあります。あなたの決断がお孫さんにも影響を及ぼすのです。

     

     

     

     

     

    もしワクチンを

    接種しなかったら・・・?

    (VPDを知って、子どもを守ろう)

     

     

    【影響①】

    お子さんの健康への影響

    VPDとは、Vaccine Preventable Diseasesの略です。

    • Vaccine = ワクチン
      ●Preventable = 防げる
      ●Diseases = 病気
      つまり、VPDとは「ワクチンで防げる病気」のことです。

    VPDにかかると、重い後遺症が残ったり、命がおびやかされることがあります。まさかと思われるかもしれませんが、麻しん(はしか)やおたふくかぜのようによく知られた病気でも、重い後遺症が残ったり、命を落としたりすることがあるのです。

     

    次にあげるケースは、小児科医として実際に体験したことをもとに書かれています。決して特殊な例ではありません。ワクチンを接種しないと誰にでも起こり得るということを、知っていただきたいと思います。

     

     

     

    【影響②】

    ご家族の日常生活への影響

     

    予防接種で予防できる感染症にお子さんが感染した場合、病院や診療所に通院や入院することになり、保育所や幼稚園、学校などを長期間休むことになって、とても大変ですね。
    また、かかった本人だけでなく、保護者や家族の方々の日常生活にも、さまざまな影響が出ます。肉体的にも、精神的にも、また、経済的にも大きな負担がかかってしまいます。

     

    1. 通院の場合は、家庭での看護のために、仕事・育児・家事・学業などに影響します。
    2. その埋め合わせを同僚や家族などが行わなければなりません。
    3. 共働き家庭では、どちらかが仕事を休まなければなりません。
    4. 入院の場合は、病院での付き添いのために、生活により大きな影響が出ます。
    5. 治るまでは、公共交通機関を利用することは控えなければいけません。
    6. 重症になれば、さらに長期間、影響することになります。
    7. ワクチンさえ受けていたら・・・という精神的なストレスも残ります。
    8. 兄弟姉妹にうつると、さらに影響が出ます。
    9. お友だちにうつしてしまい、重症になったら、取り返しがつきません。
    10. 上記の理由で、出費(「間接医療費」といいます)がたいへん増えます。

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