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2025.06.30第6回 「熱が高いし、カゼひいたので抗生物質ください」これって???
医療は常に進歩しています。昔は当たり前だったことが今はもう通用しないこともたくさんあります。
風邪薬ひとつとってもそうですし、抗生物質も昔は熱があれば飲むのが当然でしたが、今はそうではありません。
普通のカゼの原因はウイルスであり、抗生物質は効きません。
抗生物質が効くのは、細菌感染症です。とびひ等の皮膚の細菌性感染症・軽症でない中耳炎・溶連菌感染症・マイコプラズマ感染症・百日咳・重症の細菌性胃腸炎、二次性の細菌性感染症などであり、感染症でもかなり数は限られています。
以前は、「念のために」と言って抗生物質をのむことが多かったですが、抗生物質を続けると耐性菌(抗生物質が効かない菌)が蔓延し、その耐性菌がいざ悪さを始めたときに治療方法がないということになり、最悪の場合、命を落とすことになります。
以前は、カゼの時でも「肺炎・中耳炎にならないように」という理由で、抗生物質を出す病院もありましたが、抗生物質をのんでも肺炎・中耳炎等の重症化の予防になる、という医学的データや根拠はありません。
抗生物質を飲むと、腸内細菌が変化・死滅してしまい、下痢が出るのは以前からよく知られていますし、抗生物質をのんでる子は、飲まない子にくらべ、肥満・喘息・アレルギー・川崎病の発症リスクが高まることが最近の研究で指摘されることもあります。
当院では不必要な抗生物質は処方していませんのでご安心下さい。
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2025.06.16第5回 冷却ジェルシート(冷えピタ、熱さまシート等)
お熱が出た時に、氷枕や冷却ジェルシート(冷えピタ、熱さまシート等)を使うイメージがありますね。
大人が冷却ジェルシートをおでこに貼るとヒンヤリして気持ち良いですね。
ただし、お子さん、特に1歳未満の乳児のおでこに冷却シートを貼るのはやめましょう。シートがズレて鼻や口を塞いで窒息した事故例の報告があり危険です。
そもそも、おでこに貼っても熱を下げる効果はほとんどありません。
おでこには太い血管が通ってないからです。
もし貼るとしたら、太い動脈が通っている場所、例えば、
首の斜め前(頸動脈)
脇の下(腋窩動脈)
太ももの付け根(大腿動脈)
に貼るのがお勧めです。
入院の医療機関でもクーリングと言って、この場所に保冷剤を使うことがあります。
おでこは冷やしません。ただし、お子さんが嫌がるときは、無理に冷やさなくても大丈夫です。
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2025.06.01第4回 解熱剤(熱さまし)の使い方
お子さんが高熱を出したとき、解熱剤を使っていますか?
「熱さましを使っちゃダメ」と思っている親御さんが時々いらっしゃいますが、使ってもらって大丈夫ですよ。世界の有名な小児科の教科書には、カゼの治療の中で「安静と解熱剤」と書いてあるくらいです。
(ちなみに、咳止めと言われている薬は、外国ではふつうは使いません。日本には咳止めと言われている薬はありますが、名前だけで、咳を止めるエビデンスはまったくありません。)
また、逆に、熱さましは6時間間隔が空いたら次が使えるので、熱が出てる間は6時間おきに熱さましを使う親御さんも稀にいらっしゃいます。間違いではないですが、6時間たったからと言って眠っているお子さんを起こしてまで解熱剤を使う必要はありません。
40℃出たから脳に障害が生じる、ということはありません。
カゼの場合、発熱はウイルスと戦うための防御反応ですので、必ずしも下げる必要はありません。
しかし、わが子が熱を出しているのに、何かしてあげたいと考えるのが親心というものです。
ですので、解熱剤を使う目安として、次のようなお話をしています。・38.5℃以上で、元気がない時(水分が取りずらい時、眠りにくい時など)に使いましょう。
・38.5℃以上あっても、水分が取れていて、眠れていれば、急いで使う必要はありません。解熱剤は、使ったとしても必ずしも平熱になるわけではありません。1.0℃くらい下がったら効果があった思ってください。
解熱剤以外では、首元や腋を冷やしてあげるのはとても有効です。
熱の高さよりも、水分が飲めているか、呼吸の仕方が苦しくないか、顔色が悪くないか、ということの方が重症度に関わりますのでそれらが悪ければ病院受診してください。
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2024.08.30第3回熱中症
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2024.07.22第2回食中毒
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2024.05.24第1回花粉症
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2022.10.07ブログを公開しました
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