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2025.08.11赤ちゃんの耳の外来
赤ちゃんの耳の外来
耳垢(じこう)=みみあか
は取った方がよい?
取ってはダメ?
耳垢は基本的に取る必要はありません。耳垢は、外耳道を清潔に保ち、保護し、滑らかにしてくれる必要なものです。耳垢は外耳道の奥から入口にゆっくり移動して自然に排出されます。耳垢があること自体正常のことで、何らかの症状(成人では、難聴、耳鳴り、耳閉感、耳痛など)がある場合、あるいは完全に閉塞している場合を除けば、そのままにしてよいのです。そのような場合は耳鼻科を受診しましょう。
米国のガイドラインでは、綿棒、耳かきを使ってはダメとされています。綿棒を使う場合も、耳穴から出てきた(出てきそうな)耳垢をとるだけなら問題ありません。耳穴に中に綿棒を入れると、耳垢をかえって押し込んでしまって耳垢閉塞になります。
入浴時に耳の中に
水が入りました。
大丈夫?
プールで水中にもぐっても、普通は中耳炎にはなりませんよね。同様に、入浴中にお風呂の水が耳の中に入っても大丈夫です。中耳炎にならないか心配されることがありますが、その心配はありません。
外耳道と中耳は鼓膜で隔絶された別空間だからです。鼓膜に穴が開いていなければ、外耳道に水が入っても中耳に水が入って中耳炎になることはありません。
無理に水を取る必要もありません。体温で蒸発してしまうからです。
綿棒でとるのはやめてください。外耳道を傷つけて外耳炎になったり、赤ちゃんが急にに動いて鼓膜が破れたりして大変危険です。
耳の後ろのぐりぐり
耳の後ろや頭の後ろ、首などにはリンパ節があり、健康な赤ちゃんにも「ぐりぐり」として良く触れます。小豆大くらいの小さな大きさでよく動くものが耳の後ろに触れるのはリンパ節ですから心配ありません。
頭皮の感染症や、外耳炎、中耳炎、口腔内の感染症、さらには乳児湿疹やアトピー性皮膚炎において、その所属リンパ節として耳介後部のリンパ節が腫脹することもあります。発熱・不機嫌・耳だれなどがあれば小児科を受診してください。
リンパ節の痛みが強かったり、赤くなっている時はリンパ節自体が化膿したり炎症を起こしていることもありますので小児科を受診してください。
小耳症
耳介の一部、あるいは全部が先天的に欠損する疾患です。外耳道は正常のものから狭窄もしくは閉鎖するものまであり、鼓膜や耳小骨に異常を認めることもあります。耳介形成が必要ですので形成外科を御紹介します。
絞扼耳(こうやくじ)
=折れ耳
折れ耳は、耳介の先天異常のうち、最も頻度の高い疾患です。聴力は正常であることが多く、見た目の形以外に異常を認めないことがほとんどです。
程度が軽い場合は自然に治ることもありますが、変形が著しい場合には専門医を受診して、赤ちゃんの耳の軟骨がまだ柔らかい生後6か月以内にテープや装具などで折れている部分を矯正することで手術を避けられる場合があります。耳の軟骨が硬くなってしまうと矯正治療が難しくなりますので、生後6か月以内に形成外科を御紹介します。
変形が強く矯正治療で形が整わなかった場合や、軟骨が硬くなって矯正治療が難しくなった時期に治療を希望された場合には、手術になります。
副耳
副耳は比較的発生頻度の高い先天性疾患の1つであり、頻度は1.5%程度といわれています。耳前部から口角、頸部にかけて発生します。基本的には見た目の問題であり、多くの場合は耳の聞こえには異常がないことがほとんどです。
手術を希望される場合、全身麻酔を何歳頃から可能とするかは施設により差があります。
他の先天異常に伴って副耳を生じることもあります。口の大きさが左右で違う、耳の形に異常がある等の場合はそれらの治療も必要になります。
先天性耳瘻孔
耳介前方や、耳輪部、耳介周辺に見られる先天性の瘻孔(穴)です。
垢や皮脂などが溜まって、圧迫により白い分泌物を認めることがを除けば無症状に経過することが多いです。
溜まった分泌物に細菌が感染すると、腫れ、赤み、熱感、膿が出るなどの症状が現れます。このような感染時には抗生物質の内服や、膿が出ている場合は切開排膿が必要なことがあります。
感染を繰り返す場合は、手術によって瘻管(穴を作っている管)の摘出が推奨されます。