祇園ふたばこどもクリニック
広島市安佐南区の小児科
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小児科、循環器小児科
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  • 2025.12.06
    赤ちゃんの血便の外来

    赤ちゃんの血便の外来

     

     

    赤ちゃんの便に、血液のような赤いものが混じっていると心配になりますよね。まず、赤く見えているのが本当に血液かどうか確かめることが大切です。昨日赤いものを食べたりしていませんか?離乳食のニンジン、トマトやスイカなどはそのままの色で便の中に出ることがあります。また、ある種の抗生物質をミルクといっしょに飲むとレンガ色の便になります。

     

     

    新生児メレナ

    新生児期にみられる消化管からの出血で、吐いたものや便に血液が混じります。血液を固めるにはビタミンKが必要ですが、赤ちゃんが自分でビタミンKをつくれるようになるには数日かかるため、一過性のビタミンK欠乏症になることが原因です。重症の場合、頭蓋内出血を合併することがあります。現在は出血予防のために、ビタミンKシロップが投与され、この病気は非常に減っています。生後3か月になる手前まで、週1回飲むことが推奨されています。

     

     

     

    リンパ濾胞増殖症(過形成)

    便に少量の血液(点状や線状の出血)が混じることよくあります。血液は混じっていますが、赤ちゃん自体は機嫌もよく哺乳も良好で嘔吐もなく、全身状態がいつもと変わらない場合は、リンパ濾胞増殖症(過形成)の可能性があります。

    リンパ濾胞増殖症(過形成)は多くの赤ちゃんに見られますが、「成長の過程で大腸粘膜にリンパ濾胞の過形成が起こりポリープ状に凹凸を作って、便が通過する際に出血して便に点状や線状の血液が混じる状態」、と考えられています。

    赤ちゃんの機嫌がよくて、通常通り哺乳ができていれば問題ありません。生後2~3か月からみられ、多くは数カ月で自然に軽快し、1才ごろまでに治癒することが多いです。

     

     

    腸重積

    腸重積は、腸が腸の中に入り込む病気で、主に生後3、4か月以降に発症します。症状は、血液が混ざったねっとりした便(イチゴゼリー、イチゴジャム状便)を認めます。血便だけでなく、顔色不良、間欠的な機嫌不良、嘔吐などもみられます。赤ちゃんの様子は明らかにいつもと違います。緊急度の高い病気で、早期に診断しなければ手術治療が必要となり、さらに対応が遅れれば、腸穿孔(腸管に穴が開く)や腸壊死などの重大な状態につながります。

     

     

    診断は超音波検査で行います。

    診断が確定したら、直ちに総合病院での治療が必要です。治療が遅れると腸が腸穿孔や壊死を起こすので緊急に治療が必要です。

     

    治療は、非観血的整復術(高圧浣腸)と観血的整復術(手術)の2つがあります。

    非観血的整復術(下図)は、肛門から空気や生理食塩水や造影剤を注入して腸に入り込んだ腸を押し戻す方法で、発症から時間が経っていない(24時間以内など)場合に試みられます。整復が難しい場合や、発症から時間が経って全身状態が悪い、再発を繰り返す場合、腸穿孔(腸に穴が開いている)の疑いがある場合は、小児外科が対応し手術が必要となります。

     

     

     

    急性胃腸炎

    ウイルス性(ロタウイルスやノロウイルス)、細菌が原因です。赤ちゃんの場合は兄姉からの家族内感染、通園児であれば保育園園内感染が多いです。嘔吐や哺乳不良で脱水に進行しやすいですので要注意です。吐物に血液が混入することがあります。

     

     

     

    消化管アレルギー

    (食物たんぱく誘発胃腸症)

    乳や卵黄を摂取しはじめて数日後から、嘔吐・下痢・血便を繰り返す場合に可能性があります。吐物に血液が混入することもあります。
    これは、乳や卵黄のアレルギーのために消化管に炎症が起きた結果、便に血液が混じります。
    乳アレルギーであれば、アレルギー用ミルクへ変更、乳・ミルクの除去などの対策が必要です。
    なお、消化管アレルギーは、通常のアレルギー血液検査では反応が出ません。すなわち、消化管アレルギーかどうかは、アレルギー血液検査ではわかりません。食物除去試験や食物負荷試験などで診断します。

     

     

    裂肛(れっこう:きれ痔)

    痔核(じかく:いぼ痔)

    便秘などの物理的刺激によって、裂肛(れっこう:きれ痔)や痔核(じかく:いぼ痔)が発症することがあります。便秘の治療が必要なこともあります。

     

     

     

    メッケル憩室

    メッケル憩室は,小腸の中間部分にみられる袋状の突起物を指します。ヒトの胎児のごく初期に卵黄管という管が臍帯(へその緒)と小腸との間に一時的に発生しますが,この卵黄管はまもなく消えてしまいます.ところが,その卵黄管が消えずに残ったときにメッケル憩室になります。

     

    大部分は無症状に経過し、症状が出るのは4%前後と言われています。主な症状は、下血・腹痛です。患者さんにより出血、腸閉塞、憩室炎を起こすタイプに分かれます。メッケル憩室は腸粘膜で被われていることが多いのですが,一部に胃粘膜が存在することがあり,胃粘膜から分泌された胃酸によって小腸に潰瘍ができ,そこから出血することがあります。この出血は,一度に大量に出ることが多く,痛みなどの前触れなく下血することがあります。胃酸を分泌する細胞が存在する場合は、総合病院のシンチグラムで診断できます。

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