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2025.08.10赤ちゃんの眼の外来
赤ちゃんの眼の外来
視機能・視力
(どのくらい見えている?)
新生児(生後1か月未満)では、視力は0.03といわれていて、ぼんやり見えています。色覚はまだありませんが、授乳時、母さんの顔は見つめてくれます。
生後1か月で、大きなものを見つめる「固視」ができるようになります。
生後2か月で、色覚が出てきます。
生後3か月で、人や手を追いかける「追視」ができるようになります。ただ、まだ両眼の共同運動ができないので、一見すると斜視の様に見えることもありますがまだ心配ありません。
生後4か月で、両眼で立体視することができるようになります。
生後6か月で、視力0.1~0.4になります。
1歳半で、視力0.25~0.5になり、遠くのものが見え始めます。
鼻涙管閉塞
鼻涙管は、まぶたの内側と鼻の奥をつなぐ管で、涙はその管を流れる仕組みになっています。
鼻涙管閉塞は、乳児の6~20%にあるとされ、頻度は比較的高く、症状は流涙(泣いてないのに涙が出る)と眼脂(目やに)です。
治療は、
・涙嚢マッサージ(涙嚢という涙が溜まる部分を優しくマッサージする)
・抗菌薬の点眼薬
です。
鼻涙管は成長に伴って生後2~3か月で開通し、鼻涙管閉塞のほとんどは自然治癒します。
生後3か月になっても続くようであれば涙道ビジーという処置が必要なこともありますので、眼科に御紹介します。
睫毛内反
(しょうもうないはん)
=逆さまつ毛
下まぶたのまつげ(睫毛)が、結膜(白目)や角膜(黒目)に接している状態で、乳児の約半数にみられます。乳児はまだ顔の骨が発達途上で、特に鼻根部が平坦で幅が広いことでまつげも眼球に向かって生えてみえることがあります。多くの場合、顔の骨の発達に伴って2~3歳までに自然治癒します。
大人のまつげと違って、乳幼児のまつげは柔らかいので、結膜や角膜に傷はつきにくいです。
ですので、充血などなければそのままで大丈夫です。充血や涙っぽいなどあればまずは当院を受診してください。眼科を御紹介します。
稀ですが、先天的緑内障の場合に角膜(黒目)が大きくなって逆まつげが目立つ場合があります。
お母さんがみられて角膜が大きく感じる場合や涙っぽく感じる場合にも、当院を受診してください。眼科を御紹介します。
眼球結膜出血
分娩の際に外力が加わることで静脈のうっ血が起こり、眼球結膜(しろめの部分)に出血がみられることがあります。
生後1か月頃までには自然に消えます。
落陽現象
太陽が地平線に沈んでいくように、黒目が「下のまぶたに隠れる」ように下の方に沈んでしまうことを、落陽現象といいます。正常新生児でも生後1か月以内で約2%の児に起こると報告され、通常2~3か月、最長でも6か月には消失します。
一方、神経学的異常兆候としての落陽現象は、水頭症や頭蓋内圧亢進など神経学的異常に合併することがあります。
落陽現象が続く場合はご相談下さい。
青色強膜
青色強膜とは、白目の部分(強膜)が青みがかって見える状態のことです。
これは、強膜が通常よりも薄く、下にある血管が透けて見えるために起こります。
骨形成不全症などの遺伝性疾患の症状の一つとして現れることがあります。
ただし、新生児・乳児期は元々強膜がまだ薄いため、誰でも多少青みがかって見えることがあります。
先天眼振
眼振とは、眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすることで、生後数日~数週から見られます。視力障害と関係することがありますが、その程度は様々です。
物が揺れて見えたり、めまいを感じたりすることはありません。
目の向きによって眼振が小さくなる位置があるので、ものを見るときに、顔を左右に向けたり顎を上げたり下げたりする頭位異常がおきます。
眼に先天性の異常がないかを詳しく調べるために眼科を御紹介します。
先天性眼瞼下垂
生まれつき、上まぶたが十分に開けられず、まっすぐ前を見たときに上まぶたが黒目を被っている状態をいいます。原因は、生まれつき眼瞼挙筋(がんけんきょきん)というまぶたを挙げる筋肉の力が弱かったり、まぶたを挙げる筋肉を支配している神経に不都合があることが考えられます。
片側性が多いです。
多くの場合、物を見るときの見えにくさを補うために、おでこの筋肉を使い眉毛を挙げて目を開けようとしたり、まっすぐ前を見たときに視野が制限されるため見やすくするために顎(あご)を挙げて物を見ようとします。
屈折異常(特に乱視)の合併が多く、弱視を生じることがあるので、眼科や形成外科など専門医にご紹介します。
斜視
赤ちゃんの眼が寄り眼のように見えることがあります。生後2~3か月までは、まだ両眼を同時に動かすことがうまくできませんので、斜視など眼の位置を判定することはできません。
生後3~4か月で、追視できるようになりますので、そこまでは待ちましょう。赤ちゃんの眼は、顔の骨格がまだ発達の途中で鼻が低く、眼と眼の間が広く平坦であることから、本当は斜視がなくても、一見、斜視の様な寄り眼に見えることが多く、これを偽内斜視といいます。
生後3~4か月を過ぎて追視できるようになったら、おもちゃなどを見つめさせて上下左右に動かしてみてください。
このときに眼の動きが左右異なっている場合には斜視の疑いがありますので、眼科を御紹介します。当院の6~7か月健診では、スポットビジョンスクリーナーという機械を使って、近視・遠視・乱視・斜視などの弱視がわかる検査を無料で行っています。
この検査は広島市の3才健診で全員に施行していますが、この検査自体は生後6か月以上で適応になっていますので、当院では早期に導入し、斜視を含めた弱視の早期発見治療に努めています。
先天緑内障
先天性緑内障とは、胎生期での発達異常により、房水(眼球の中を流れている液体)の排出が悪く、眼圧が上昇し、視神経が圧迫、障害される病気です。
高い眼圧によって眼球が拡大するために、
・黒目が大きい場合
(角膜径が拡大:牛眼ぎゅうがん)
・黒目が白く濁る場合
(角膜混濁かくまくこんだく)
・涙が多い場合
(流涙りゅうるい)
・光をまぶしがる場合
(羞明しゅうめい)
・まぶたがピクピク動く場合
(眼瞼痙攣がんけんけいれん)
これらの症状に気づいたら、速やかに眼科を受診し、専門医の診断を受けることが大切です。1歳までに発症することが多いです。先天白内障
出生時より水晶体の混濁がある疾患で、瞳孔が白く見える、追従反射がない、眼振・斜視・小球症などの症状がみられます。
原因は、特発性が最も多く、他に遺伝性、胎内感染、代謝疾患などに合併することもあります。これらの症状に気づいたら、速やかに眼科を受診し、専門医の診断を受けることが大切です。